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7.全体討論
全体討論 司会 小舘 美彦
*発言者の氏名はプライバシー保護の観点から、イニシアルとさせていただきました。 *講演者と準備委員の氏名は、そのまま記させていただきました。 *録音音声の不具合のため聞き取れない箇所があり、省略や要約を余儀なくされた箇所があります。 ご了承ください。 ![]() M「今日の話は、全部中道的で何も反感を感じませんでしたが、以前は左側の人たちが多く、私が韓国 のことを批判すると一斉に反撃されました。辺野古の基地建設反対運動を批判しても、スパイ防止法 に賛成を表明しても、一斉に反撃されました。そういう一方的なところが嫌で無教会の集会には来なくなりました。反対の意見の人も招いて、逆の立場の人にも耳を傾けて、もっとバランスの良い集会にしてほしいです。無教会である以上内村鑑三の思想に影響されるのもわかりますが、やはり無教会 の中心はキリストですから、キリストのように色々な立場の人に耳を傾けるべきだと思います。」 荒井「Mさんの意見も、今日の安達さんのお話もよかったと思います。こういう意見や話が語られると ころに希望があると思います。私たちが悪とみなしている人たちの上にも神の恵みがあるのだという ことを忘れてはなりません。それで千葉さんに質問なのですが、ドストエフスキーはどういう信仰を 持っていたのでしょうか。オーソドックスなキリスト教信仰と彼は同じような信仰を持っていたので しょうか。特に罪や悔い改めについてどのような見解だったのでしょうか。」 千葉「ドストエフスキーは自分の信仰や神学についてほとんど語らないので、彼の書いた小説から推測 する以外にないのですが、彼が聖書を非常に深く読んでおり、聖書との対話から、彼の作品が出来上がったことは確かです。」 荒井「福嶋さんに質問です。福嶋さんは贈与を贖罪の観点から見ておられるように感じました。その辺 をもっと詳しく教えてほしいです。社会的な問題をいろいろと語ってくださいましたが、魂の救済という視点から贈与の問題を掘り下げてほしかった。 その点について、補足していただけないでしょうか。」 福嶋「私は資本の本質が略奪であり、贈与の反対であるという話をしました。そして私たちは資本を克 服できないという話をしました。救済の話はしませんでしたので、贈与と救済の関係がどうかと問わ れても、何ともお応えしにくい。贈与の根源には純粋贈与があります。 純粋贈与は私たちの努力とは 何ら関係がなく与えられているということで、例えば、私たちに地球や命が与えられているというこ とです。これに対して私たちは何ら返礼をすることができない。できることは私たち自身が小さな贈 与を行っていくことでしかない。革命を行って贈与のシステムを作るなんてことはできるはずもなく、 小さなニッチを作り出し、小さなリミットを設けていくことくらいしかできない。それが破局に備え るためにできる唯一のことです。」 S「私はロシア正教のことは知らないのですが、ロシア正教はプーチンやロシアの政策にどれくらい影 響を及ぼしているのでしょうか。」 安達「プーチンの判断にはロシア正教とは別の思想があるように感じますが、それが何なのかはよくわ かりません。またロシア正教がどのようなものかもよくわかりません。アウグスチヌスの影響を全く 受けてないということが重要だと思いますが、それがどういう結果になっているのか、よくわかりま せん。」 大西「福嶋さんは破滅と終末を分けて考え、終末には希望があると話してくださいました。 これには本 当に共感いたします。他方安達さんのウクライナの話は、全く受け入れられません。どういう理由 があろうと大量に人を殺すのは、間違っているとしか思えません。」 中村「運営の方への質問になりますが、全国集会という場が何を話し合い、何を共に考える場なのか、 よく受け取り切れておりません。例えば、議長は内村の絶対平和主義に立つのだと開会挨拶で話され ましたが、同時に安達さんへの依頼がなされていてアメリカの肩を持つのかロシアの肩を持つのかと いう両論が提起されていました。一体運営を担ってきた方々は、何を目的としてどういう方向でこの 会を運営していこうとなさっているのかお聞きしたいです。」 司会「Mさんにも中村さんにも根本的な誤解があるようですが、無教会という集まりは組織でもなけれ ば、団体でもありません。ですから共通の理念や教義があるわけではありません。今全国集会を運営 している準備委員会も、個人の集まりでみんな意見が違うし、信仰も違うのです。非戦論の人もいれ ばそうでない人もいます。(補足:数年前に、ウクライナも非戦論に沿って行動すべきだという講演 がなされましたが、そのときにもかなりの人がその意見に反対でした。)それを勝手にこういうもの だとまとめてしまうのは完全に誤解であり、無教会の一部しか見ていないと言えます。この全国集会 も毎回毎回準備員として集まった人たちが今年はこういう状況だからこういうテーマにしようと決め ていくわけで、初めから何かしら決まった考えがあり、それを押しつけようなどという気持ちは、基 本的には誰にもないはずです。今年は方針を変えたのかとMさんは問われましたが、元々全国集会に 決まった方針などというものはないのです。もし方針のようなものがあるとしたら、それはイエス・ キリストのみです。全国集会に無教会の人たちがなぜ集まるかと言えば、イエス・キリストとは何か と問うためです。イエス・キリストは神の子ですから、本当に計り知れない深さを持っています。イ エス様はこういう方だと思ったら実はこういう面もあったと、学べば学ぶほど新しい面が出てくる。 であればこそ毎年いろいろな方をお招きして話し合うのです。大事なことは自分が壊されることだと 思います。これこそが正義だと思っていた自分がキリストを通じて壊される、壊されることによって 次へと進んでいく。そのために全国集会をやるのだと、私は思っています。」 中村「福嶋さんに質問です。私も資本主義には否定的なのですが、しかしいくらそれを批判しようと、 自分自身も資本主義にどっぷりつかって暮らしている。そういう自分を振り返ると、なんだか自己欺 瞞的に思えてしまうのです。この点について福嶋さんが考えていることや実践なさっていることをお 聞きしたいのです。」 福嶋「資本主義批判が自己欺瞞に陥るというのはまさにその通りです。であるからこそ、資本主義の外 に出るにはどうしたらよいのかと、私も七転八倒しているわけです。しかし希望はあります。という のも、私たちは資本主義によってのみ生きているわけではないからです。 それに加えて、資本主義そ のものが、資本ではないものによって成り立っています。すなわち人間の労働力や自然の生態系など のマネー化することのできないものによって成り立ってるのです。東京のような空間に住んでいると、 そうしたことを全く忘れてしまう。すべてが資本主義によって支配されているような気持になってし まう。これこそマモン崇拝です。人は資本のみにて生きるにあらずです。先ほど挙げたものに加えて 親の愛情や様々な形の贈与、そして硬貨というものも実は資本主義とは異なる原理にしたがって動い ています。このように資本主義以外のたくさんの要素によって私たちは生きています。それらを活性 化していくことが、資本への対抗運動であると私は思っています。」 飯田「今は核分裂から核融合へと目が向けられていますが、核融合利用は危なくないのでしょうか。」 近藤「今かなりの投資がなされていますが、実現はかなり先ですね。東大の原子力研究室の先生の講義 を受けたことがあるのですが、その先生は高速増殖炉による核燃料サイクルのほうが核融合よりはま だ実現可能性があると言っていました。私は核融合については不勉強でよくわかりませんが。」 F「核融合については、かなり研究開発が進んでいて、2040年代に実現を目指しているそうです。」 司会「そうなんですか。」 福嶋「近藤さんのお話はとても重要なものでした。原発こそ破局がすぐそこにあるということを思い起 こさせてくれるものであり、福島の原発事故は破局の始まりと言ってよいかもしれません。また信仰 と行動を切り離さないというメッセージも重要だと思いました。」 O「二項対立的で申し訳ありませんが、福島さんは社会改革の問題について、千葉さんは個人の救いの 問題について語ってくださいました。この両者をどう結び合わせていけばよいのか。私はキルケゴー ルの『死に至る病』にヒントがあると思うのです。ぜひご参考にしてください。」 千葉「個人の救いは絶対に共同体と結びつていくはずですので、これからはドストエフスキーの社会思 想にも目を向けて研究していきたいと思っています。ご指摘ありがとうございました。」 (文責:小舘) ![]() |